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2013-03-20

Loqui 0.5.5リリース/LoquiのISO-2022-JP半自前変換の仕組み

Loqui 0.5.5を出しました。受信時に行なっていたISO-2022-JPの半自前変換を、送信時にも行うようにしました。ただし、受信時と異なり、「半角カナ」などの文字は、エラーにします。

これもまたSolaris用で、Solaris iconvでUTF-8からISO-2022-JPに変換すると、IRCNet的に困ったエスケープシーケンスをつけてしまうことへの対応です。Solarisで起きる現象については、この一連のスレッドにまとまっています(もう少しするとopensolaris.orgがなくなるので消えてしまうのですが…)

GNU iconvではこのようなことがないので、Linuxユーザの方は今までのままで大丈夫です(0.5.5からLinuxでも自前になるので、かえってあやしいかもしれません。うまく変換できていたのにいかなくなったケースがあれば教えてもらえると助かります。)

さて、せっかくなのでずっと前から実装されていた半自前変換について書いておこうと思います。UTF-8⇔ISO-2022-JP変換をする人の参考になれば。(パフォーマンスはよくないし、ISO-2022-JP-2004なども視野に入れるとやることが増えるので、対応できるケースは限られるのですが…)

Loquiの半自前UTF-8⇔ISO-2022-JP変換


Loquiでは、アカウント設定の「コード」の「一覧から選択する」で「Japanese」を選んだ場合、あるいは「ロケール情報から自動判定する」を選んで「ja_JP」から始まるlocaleで利用している場合、(ただのiconv呼び出しでない)ISO-2022-JP向けの文字コード変換ロジックが動きます。

この変換ロジックはいわゆる「半角カナ」や機種依存文字(の一部:NEC特殊文字(13区))を受信しても化けずに表示させるためのものなのですが、ざっくり言うと、「iconvが失敗しそうな文字は自前で変換」「そうでない文字はiconvに変換してもらう」(半自前変換)という処理になっています。ただし、以下の図のような、ちょっと変わった流れをしています。


Gtk+(2以降)は、画面に表示するためにUTF-8を要求するのですが、日本語でIRCを使おうとすると、ISO-2022-JPを使っていることがあるので、この場合ISO-2022-JPからUTF-8に変換しないといけません。pureにISO-2022-JPのバイト列が来るならGLibのiconv wrapperでさくっと変換するだけで良いのですが、先の「半角カナ」があったりするので、手を入れないといけないわけです。

まぁ、変換処理を自前で持とう、という話になるのですが、ISO-2022-JPは漢字にJIS X 0208という文字セットを使っているのに対し、UTF-8はUnicodeなので、基本的には1文字1文字の変換テーブルを持つ必要があり、いろいろな意味でちょっとつらいです。そのため、「特殊な対応が必要な文字だけ自前で変換し、そうでないものはiconvに変換してもらう」というアプローチを考えます。

ところが、そうすると1文字1文字変換する必要がでてきますが、困ったことにISO-2022-JPは「ここからJIS X 0208の漢字だよー」といったような、文字セットの呼び出しがあり、コンテキストに意味をもったエンコーディングなのです。そのため、ISO-2022-JPのバイト列のままiconvに渡そうとすると、特殊な文字が入ってきたりこなかったりして、状態の管理がちょっとしんどくなります。

そこでどうするかというと、いったんISO-2022-JPからEUC-JPに変換します。EUC-JPでもJIS X 0208を使っているので、ISO-2022-JPからは計算式的に変換できる一方で、EUC-JPはISO-2022-JPと異なり、持続する文字セットの呼び出し(コンテキストの永続的変更)がない(次の文字だけ変更というのはあります)ので、状態の管理が簡単になります。これが上図のようなちょっと変わった流れをしている理由です。

詳しく知りたい方は、loqui_codeconv_tools.cを見てください。

ちなみに、Loquiはこういった言語ごとの特殊ロジックとlocale名の対応テーブルを持っています。10年以上に渡り、日本語以外に使われたことはないのですが…

余談

0.5.5を出してこの図を描こうと思ったら、いつのまにか横道にそれてました

2013-03-12

LibreOffice用カラーテーブルを作った

[2014/12/14追記] LibreOffice 4.2以降では、12色になったことによってこの8色版はまだらになってしまいます。12色対応版をどうぞ

LibreOfficeは、もうちょっとした表や図を作るには十分なのだけど、デフォルトだと色が選択しにくい。いくつかプリセットがあるもの、どうもしっくりこなかったので、自分で作った。






ダウンロードはここから: https://github.com/sunnyone/locolor/raw/master/sunnyone.soc

作ってみたはいいものの、使い勝手がいいかどうかはまだわからない。

特徴

色相と明度/彩度の2軸で選択可能

デフォルトのカラーテーブルは一部そういう部分もあるものの、表で見たときけっこうまばらなので選びづらい。


順番に並んでいるカラーテーブルもあるのだけど、横8列であることを意識して作られていないので、まだらになってしまっている。

同じ色は縦に並んでいる(似通った濃さは横に並んでいる)

LibreOfficeは一番上のスクリーンショットの通り、2通りの色選択のUIがあり、リスト形式の場合は表の横の順に8つ出てくる。つまり、表の横1列が表示される。オフィスソフトで色を選択するときは、色相よりも先にトーン(濃さだとか)が決まっていることが多いので、同一トーンのものが一画面に出てくると選びやすい(はず)。

使い方

一時的に試してみたい場合は、適当に図を挿入して、右クリック→「領域...」でダイアログが出てくるので、「色」タブからフォルダのアイコンをクリックして出てくるファイル選択の画面でsunnyone.socを選べばOK。



デフォルトの設定にしてしまいたい場合は、LibreOfficeをいったん閉じたあと、configのディレクトリ(最近のWindowsならC:\Users\(Username)\AppData\Roaming\LibreOffice\4\user\config)のstandard.socをバックアップした後、入れ替えればOK。

作りかた

上の配色が気にいらない場合でも、このカラーテーブルの作りかたは参考になるかもしれないので、一応書いておく。

1. 色相を選択する

マンセル環から色をチョイスする。マンセル表色系の色相は、5色とその間の5色、さらに倍…という感じなので、8色はちょっとつらいんだけど、がんばって4色+補色を選んだ。


2. 彩度/明度を選択する

マンセル表色系では、色相によって最高彩度が違うのでしんどいのだけど、概ね横の三角形の形をしているので、三角形の頂点を決めたあと、間の点を機械的に選んだ(実際はマンセルの等色相面はいびつな形をしているので、本当はない色があるかもしれない)。



詳しくはレポジトリに置いてあるシートを参照。

3. Color::Model::Munsell::Utilを使ってマンセル値からRGB値に変換

マンセル表色系に対応しているライブラリはけっこう少ないのだけど、PerlのColor::Model::Munsell::Utilは対応していたので、これで変換した。
マンセル値は直接RGBにはできないので、テーブルでCIE-XYZに変換して、そこからsRGBに変換している(はず)。
出力はLibreOfficeで使っている簡単なXMLにするだけで、完了。

詳しくはリポジトリに置いてあるスクリプトを参照。

Q&A

なんでPCCSじゃないの?

色彩+トーン(彩度・明度)という考え方は、まさしくPCCS向けなのだけど、PCCSは(恐らく)物の色向けで、かつトーンの名前が人の感覚でつけられているので、RGBの世界に持ってくると、この手の世界になじみがない自分にはちょっと違和感があった。なので、類似した感じのマンセル表色系で色をチョイスした。

↑これが、「v2」というvトーンの赤、つまりvividなred (4R 4.5 / 14)をRGBに変換した色なんだけど、画面で見るとにぶく見える気がするのよねぇ。

機械的に計算するならHSVのほうがいいんじゃ?

できたあとに思った。実験してみてないのだけど、高明度の色は、HSVで機械的に出したほうがきれいな薄い色になったんじゃないかなーと思ったりもする。

が、マンセル値にしておけば、表記が人の理解できる範囲になると思うので、これはこれでいいかなと思っている。

なんで色を選ぶUIが2種類あるの?

ひとつだったらもう少し作りやすかったのに…

2013-03-08

MSBuild Launcher 0.2.0 リリース

MSBuild Launcher 0.2.0が出ました

0.1.xのヘンテコなJSON記法は廃止し、プロパティはファイルから取るようになりました。
右のFile Propertiesには、ImportedだとかSpecialなプロパティは出てこない(あると出すぎる)ので、
もし必要であれば、Settingからプロパティ名を追加してください。特殊なプロパティも定義されていれば表示されます。

あと、インストーラができたので、そのほうが好きな方はどうぞ。関連付けができます。
ただ、一度手動で関連付けていると、関連付かないことがあるので、そのときはいったんアンインストールして
HKCRのゴミを消してからまたインストールしてみてください(ちょっとひどい話ですが)。

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WiXでのインストーラの作り方も記事にしようかと思ったんだけど、あまり「これだ!」という感じにならなかったので、見送り。